個性的な賃貸住宅の例「 D-APARTMENT」

Michiko JUTO Michiko JUTO
D-APARTMENT(CASA Kojiro), SPACESPACE SPACESPACE Modern living
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賃貸住宅の可能性について。例えば単身者用の賃貸住宅であれば、30平米ほどの面積にキッチン、水廻り、リビング/ダイニング/寝るスペースが兼用になったワンルームが収まっており、その間取りにバリエーションをあまり見ることはありません。しかしちょっと変わった物件、面白い間取り、機能的でな間取りなどが逆に新鮮で意外とそういった「部屋」を探している人も多いのではないでしょうか?本日紹介するのは、様々な環境に囲まれた駅前の敷地に建つ新しい形の賃貸集合住宅です。

瀟洒な佇まいの単身者用賃貸住宅

SPACESPACEが設計を担当した一見住宅には見えないその集合住宅は、実は都市に溢れる無限の可能性に目を向けて「間取り的想像力」を設計の方法論に取り組んだプロジェクトなんです。地域形成を担っている自然環境や都市的エレメント、昔ながらの商業形態などが混在する活気ある駅前に位置するこの敷地では、そういった周囲の環境に対応しながら繋げていくように計画されました。曲線を描く建物の形態と真っ白な外観、そしてたくさん設けられたミニマルな開口部がひと際目立つ瀟洒な佇まいです。

看板建築のように表情のあるファサード

建物北側には駅の高架が長々と続いている賑やかな近隣に対してクリーンな雰囲気の真っ白な佇まいが新しい町の表情を作っています。店舗が点在する西側道路に面してテナント用のスペースが配置され、都市のコンテクストを考慮しながらも新しい賃貸住宅の在り方を表現した建物で、直線で構成された正面ファサードは、昔の看板建築を思わせます。

曲線はなめらかに周囲の環境も繋げてくれる

建物の後ろはご覧の通り、滑らかな曲線が描くモダンなフォルムが印象的です。人通りの多い賑やかな場所ですが、大きな開口をふんだんに配置し、地域との接点をあえて作ったようなデザインですね。華奢な作りのミニマルなバルコニーや外階段が外部環境を享受する機会を作ってくれています。

開放的な共有空間がもたらす地域との繋がり

建物正面の脇に入り口を設けています。開放的なデザインによって、背後の自然環境を取り入れることができ、地域にも開かれた雰囲気が閉鎖的になりがちな単身者の生活に新たな可能性を与えたと言ってもいいでしょう。シンプルな外観にぴったりの郵便受けやインターホーン、照明などディテールにも凝ったプロジェクトですね。

隙間に生まれる面白さ

中庭を突っ切る階段と外廊下は2階の共有スペースを通り過ぎて3階へと続きます。これだけの余裕のある共有空間をもつ賃貸住宅もなかなか存在しませんが、こういった付加価値をつけることで、魅力的な賃貸物件が生まれ、同時に豊かな住環境を生み出しますね。

隣人との交流も図れるデザイン

ライフスタイルや生きる姿勢みたいなものを問うような建築は、それに共感する人々が集まるものです。そういった意味でそれぞれの住戸がお互いにインタラクティブな関係にあるこの賃貸住宅では、アノニマスになりがちな都市生活の中で、隣人との交流も生まれやすいかもしれませんね。

豊かで個性的な「部屋」

この賃貸住宅では典型的なモジュールではなく、2x16mほどの壁のようなボリュームを採用しています。それによって細長い部屋が生まれ、より細分化されたゾーニングが可能な空間を作ることができました。1フロアに2世帯なので中庭を介して各部屋には曲線を持った折り返す空間が生じ、狭幅の部屋に広がりと奥行をもたらしてくれます。

曖昧かつ空間の

広がりのある部分と収縮する空間が交差し、単身者用の賃貸住宅とは思えないくらい変化に富んだ豊かな空間が生まれました。床と壁と天井の区別がつかないような内部空間はまるで白いキャンパスのように、住人によって各々彩られていくのでしょう。

様々なライフスタイルを曖昧かつ多様な用途でサポート

バルコニーやテラスなど単身者用の賃貸住宅にしては贅沢なエレメントが添えられたこの賃貸住宅では、その独特の動線といくつもの開放的な開口部が様々な風景をもたらし、環境を繋げます。ある程度ゾーニングされた内部空間もそのチューブのような構成により、曖昧かつ多様な使い方が可能なところがこの住宅の特徴かもしれません。それは都市における様々なバックグラウンドや年齢層の人たちが集まって住むことに対してフレキシブルな対応を発揮するのです。

無限の可能性をもつ賃貸住宅へのアイデア

視線が垂直方向にも水平方向にも交差しつつ抜けていく建築家の巧みなデザインですが、気になりがちなプライバシーの配慮は住人に任せるといった潔いコンセプトも新たな挑戦といえるでしょう。同時に孤独になりがちな都市生活者に屋上や中庭など共有空間を提供することで、健全で豊かな住環境を提案することで、集まって住むことを再考するプロジェクトと言えるのではないでしょうか。

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