建築家が建てる子どもと大人のためのツリーハウス

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子どもの頃誰もが一度は「大人に知られることのない、自分たちだけの秘密基地が欲しい」と願ったのではないでしょうか?そこで今回は子どもたちが思い切り身体を動かし楽しむことができるツリーハウスを日本と海外の事例から三点ご紹介します。もちろんそれは子どもたちの為だけではありません。大人になった皆さんも心弾むこと間違いなし。

自然の中での遊びが与える効果

こちらは園庭にある樹齢五十年という大きなクスノキと一体になったツリーハウス&ツリーデッキです。手掛けたのは京都市に拠点を置くフィンオール。こちらの会社は幼稚園・保育園の園庭設計からスウェーデン遊具の販売施工、また自然木を使った園庭作りに取り組んでいます。自然が子どもに与える良い効果は心理学の面でも認められており、近年では出来るだけ自然を遊びに取り入れる環境作りが各地の幼稚園・保育園で進められています。自然の中で思い切り遊ぶことで健康な身体が育まれ、そして想像力や創造性が養われるのです。ご覧のように園児たちに大人気のツリーハウスです。

身体と創造性の発育

上部にあるハウスへ登る道は四カ所ありますが、それはただの階段ではなく縄梯子であったり、ボルダリングであったり、はたまた幹と枝そのものをよじ上らなければならない道も。こういったバリエーションがあることで、子どもたちの想像力と工夫を育むのです。

木造伝統工法のツリーハウス

こちらは建築設計事務所山田屋による木造伝統工法のツリーハウスです。伝統工法とは現在の建築基準法が完成したはるか以前より、日本の気候と風土に適合しながら発展・成熟してきた工法で、簡単に表現するならば、柱と柱の間に貫(ぬき)と呼ばれる木材を通すことが大きな特徴と言えます。これにより全ての柱につながりができ、地震の際にも大きな揺れる力を全体に分散させ、結果、各部分にかかる力は少なくなり全壊を回避することができると言われている工法です。ツリーハウスの屋根は焼杉板大和葺き、壁は漆喰軍手磨きと竹小舞現となっています。

力を合わせ一年かけて作り上げたツリーハウス

こちらのツリーハウスも伝統工法の要素として、掘立柱・渡り腮梁組・竹小舞土壁・板屋根大和葺きを採用しています。 伝統技法を継承している職人の指導の下、子供から大人までが一緒になって壁土や焼杉板、和紙に至るまですべてを一から造り上げたそう。広い内部は、壁は泥団子積と大津磨き仕上げとなっており、とても力強い印象で障子も備わっているので一見するとツリーハウスとは思えません。一年かけて老若男女大勢が共に子供の夢の基地であるツリーハウスを造り上げたというこちら、完成時の感動もひとしおですね。

自然を楽しみ、学ぶ

こちらはイタリア・サルディーニャ島の森の中に建てられたツリーハウス。子どもたちにとってはスリル満天の遊び場となり、大人たちにとっては童心に帰り子ども時代の思い出を追体験したり、都会の喧噪から逃れリラックスできる時間を提供しています。しかしこのツリーハウスは娯楽のためだけでなく、建築家と市が共同で行ったプロジェクト。自然を体感することで地域の自然環境について知り、将来も持続可能な環境作りを目標としたものなのです。自然から学び、得ることはいつの時代も尽きることがありません。

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