地窓や高窓といった言葉をすでにご存知の方も多いと思います。それは、周辺に建物が密集して建ち並ぶ都市部の地域でも、住まいの快適性や機能性などを高めてくれる窓タイプになります。具体的にそれらの役割や魅力についてはあまり知らないという方もいらっしゃるでしょうから、今回は、地窓に焦点をあてて、その特徴やメリットについて紹介していきたいと思います。様々な窓の種類を把握しながら、適材適所で窓のデザインも使い分けていきましょう!
地窓とは、名前の通り、地面・床に近い低い場所に開けられる窓のことになります。古くは和室で用いられることが多かった窓の種類でしたが、最近では和室以外の部屋にも取り入られる例をよく見かけます。床面近くに窓を設けて、窓としてあまり意味がないと思われるかもしれませんが、低い位置に開口を開けるからこそ、他の窓タイプとは違った魅力を持っているのです。次からは、そのメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
近年、多くの住まいで地窓が取り入られていますが、その一番の理由として効率的な換気が行えることが挙げられるでしょう。床面に近い場所にある窓である地窓と、天井面近くの壁面に設けられる高窓を組み合わせることで、暖かい空気は上昇していく原理を効率的に利用することができ、自然と空気が地窓から高窓へと抜けていく風の流れをつくり出すことができるのです。もちろん、これは換気だけなく、心地良い風を室内に取り込んでくれるため、省エネルギー住宅にしていく上でもおすすめの窓タイプとなります。
写真:平野和司
【省エネルギー住宅については、こちらの記事でも紹介しています】
天井近くに設けられる高窓と同様に、地窓はプライバシー性を確保しながら室内を明るくできる窓であることも大きなメリットとなります。これは特に住宅密集地に建つ家などに有効で、通常の大きな窓を設けても窓から見えるのは隣家の外壁やリビングといった際に、目線の高さにない地窓であれば、隣家の人と目が合うこともありませんし、隣家の外壁が窓から見えることもなくなります。また、地窓は開口面積が比較的小さく、床面近くにあるため、他の窓とは異なり、柔らかな心地良い光を取り込んでくれることも魅力となると思います。
掃き出し窓や腰窓であれば、開口面積も大きく、採光性や通風性、眺望の面でも地窓より優れているかもしれません。しかし、そうした大きな窓であれば、その壁面にはほとんど窓しか設けられませんが、地窓であれば、収納棚を大きく設置したりデスクを置くことも可能となります。そうしたことから、壁面を他の目的にも活用しやすいことは地窓のもう1つのメリットと言えます。
写真:TERRA DESIGN.co.,ltd
最後に挙げたいのが、地窓から見える独特の景色です。掃き出し窓や腰窓では、立った時や椅子に座った目線の高さから外の風景を楽しむことになりますが、地窓では、和室のように床に座った時の目線の高さで外を眺めるため、同じ庭の風景でも他の窓を通して見える眺めとは異なる独特の景色を楽しめる窓となってくれるはずです。地窓を取り入れる際は、そこから臨める景色にも注目しながら窓の設置場所も決めてみて下さい。
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