光が拡散し、風景と融け合う。溶融亜鉛メッキで仕上げた空間のある住まい

Michi Koba Michi Koba
House in Niigata, Future-scape Architects Future-scape Architects
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溶融亜鉛メッキは、高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸し、表面に亜鉛皮膜をつくる技術。亜鉛めっき加工を施した鋼材は、錆びや腐食を発生しないため、長期間にわたってメッキが剥がれないというメリットの他、その独特の質感も魅力的です。今回ご紹介するFUTURE-SCAPE ARCHITECTSによるこちらの住まいでは、溶融亜鉛メッキ鋼板が室内に使用されています。一体どんな空間が広がっているのか、早速見て行くことにしましょう。

​周辺環境との関係性の中で生まれた住まい

敷地が位置するのは北側に素晴らしい水田の景色が広がる場所。この美しい風景との関係性を考えながらこの住まいは計画されました。まず印象的なのは、1階のゆったりとした箱型のヴォリュームに3つの小さなボックスが載ったようなその外観。それぞれ異なる素材で仕上げられた2階のボックスは少しずつずらされて並べられており、各ボックスが独立した一軒家のようにも映ります。

​2階にならぶ3つの小屋

各小屋には東西南北4方向に開口が設けられており、さまざまな方向から光と風を取り込むことができます。その受容量をさらに多くするため、小屋同士の間には隙間を設け、そして相互に位置をずらして配されています。

​人が集まり楽しむ1階部分

1階は友人の訪問が多いというクライアントの生活スタイルに沿った、人が集うオープンな場として構成されています。東西に水平に伸びたその空間は、建具を開け放てば階全体がオープンスペースとなり、とても開放的な雰囲気。生活を楽しむ場であるこの1階部分では、風景は人の動きに対して平行となるよう計画されてます。そのため景色は生活の「背景」として強く意識されず、自然と空間になじむようにさりげなく空間に取り込まれます。また連窓、両端に配された鏡の効果などで空間の水平性が強調されています。

モダンな空間

インダストリアルな雰囲気もあるモダンでシンプルな室内に、ゆったりとしたつくりの家具が映えます。印象的に配置されたふたつの階段もこの空間を特徴づけていますね。

風景と向き合う2階部分

南北に伸びた形の2階の小屋は、1階部分とは90度回転した向きに配置されており、北側に広がる風景と直に向き合う格好となります。自然を強く意識し、1階での日常生活とは異なった自分だけのプライベートな時間を過ごす空間として計画されているのです。庭の木が成長して小屋の隙間に入り込んでくれば、小屋はまるで自然の中に佇む一軒家のように感じられるでしょう。

絵のような眺望を満喫する

こちらは光を拡散する溶融亜鉛メッキ鋼板の空間を、こげ茶色の目透し張りの板で包み込んだ中央の小屋の様子です。両側にバルコニーが配され、大きな開口から目の前に広がる水田風景は、美しい絵画のようです。

​外部性のある室内

東側の小屋は鏡や艶のある塗料で仕上げられた壁や天井に、ツキ板やじゅうたんといった性格の異なる素材が組み合わせて使用されています。反射する素材で仕上げられた面に風景が映り込み、外部空間が室内へ取り込まれます。内外の境界があいまいになって、室内でも屋外の空気を感じさせるような清々しい空間が広がります。

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