住宅購入前に知っておきたい!擁壁に関する15の基礎知識

A.Imamura A.Imamura
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「擁壁」という言葉を聞いたことがありますか?擁壁とは、高低差のある土地や斜面地の土砂崩れを防ぐための構造物です。土砂災害を防ぐ縁の下の力持ちと言えるこの擁壁は、意外と知られていませんが、住宅購入時にも影響があります。今回は、住宅購入前に知っておきたいこの擁壁に関する基礎知識をご紹介します。


1:擁壁とは?

擁壁という言葉自体は聞き慣れませんが、実は、住宅地を歩いていると目にする機会は非常に多いです。こちらは伊勢湾を望む小高い丘の上に立地する住まい。このように道路よりも高い場所に建てられている家の下に、コンクリート塀や石などの壁構造物を見ることがあるでしょう。


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2:建物を守るという大切な役割

傾斜地や丘の上は、見晴らしや日当たり、風通しが良いという理由から人気がある土地です。このような高台にある家は、台風や豪雨などが起きた時、土砂崩れが起きないように土留めをした壁状の構造物が必要になります。それが、擁壁です。擁壁は、住まいを自然災害からしっかりと守ってくれる役割を果たします。


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3:擁壁と外観バランス

擁壁は、エクステリアの一部として住まいの外観イメージを左右します。例えば、経年変化が気になる場合は、塗装で綺麗にしたり、既存の擁壁にタイルを貼りエクステリア全体が調和するデザインにまとめるなど、安全面の改善と一緒に見た目もおしゃれにするなどといったリフォームが行われます。


【住まいについては、こちらの記事でも紹介しています】

※ 第一印象を左右するファサードデザイン

4:購入を検討している土地に古い擁壁がある場合

斜面地やがけに面したような土地や住宅を購入するとき、また既存の擁壁がある中古住宅購入を考える際は、安全性や基準を満たしているかなどを自治体や施工業者に依頼して確認してもらいましょう。

5:所有者に設置義務がある

この擁壁の劣化が進んでいると、災害などが起こった際に崩壊する可能性があります。そして劣化を知っていたにも関わらず放置していた場合は、土地所有者の責任が問われるので注意が必要です。老朽化した擁壁は、現行の「がけ条例」に適合しているか確認しましょう。「がけ条例」とは、がけの近くにある建築物の安全性を確保するために都道府県等の自治体によって定められた条例です。 

6:近隣とのトラブルを防ぐ

この擁壁が隣地との境界に設置されている場合は、改修や費用、境界杭をめぐるトラブルに注意が必要です。一般的に、高低差がある場合は、高側の所有者が工事費を負担すると言われていますが、境界杭や各ケースによっては低側の所有者が費用を負担することもあります。費用負担のトラブルは、最終的には司法判断になります。これから土地購入を考えている人は、境界と擁壁についての説明を受けておきましょう。

7:土留との違いは?

擁壁は、土の崩壊を留める土留のひとつであり、言葉としては構造物そのものを指す言葉です。一方、土留とは斜面地やがけの崩壊を防ぐ工事を指します。「土留め擁壁」という言葉は、土を止めるために擁壁を使うという意味で覚えておくと混乱しません。

8:擁壁の種類は?

擁壁には、鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート、ブロック造、石積みなどがあり、工事の費用は、その種類や土地の条件によって異なります。こちらはある程度低い高さで石積みを採用した住まい。緑の芝と力強い石の質感が美しいコントラストをつくります。

9:コンクリートで

コンクリート擁壁が設けられている住宅。一定の間隔で水抜穴があります。コンクリートはがけや斜面地に対して垂直に構造物を立てることが出来るので、敷地面積を有効に使うことが出来る一方で、工事費用がかかります。

10:石積み

石積みは、城壁のように石と石を繋ぎます。古い石積みは、自治体の条例や法的に認められないことがあるので、土地を購入すると工事をしなおす必要があります。石積みの中でも、玉状の石を積んだものは玉石擁壁と呼ばれ、その味わいから人気があります。

11:高すぎるブロック塀は使わないようにしよう

一昔前まで、高く積み上げられたブロック塀がよく使用されていましたが、現在ブロックでつくる土留めの高さは40センチまでと制限されていています。日本は地震大国なので、水を通しやすいブロックは中に入っている鉄筋が錆びやすくなり、地震などの災害時に倒壊の恐れがあります。

12:高低差や斜面地を購入するとき

こちらは土地の高低差が5mほどある敷地に立地する住まい。建築家が土地選びから一緒に行い、さ土地購入、工事費等資金繰りの面でも手伝いを行っています。斜面地や高低差のある土地は、低価格で販売されていることがありますが、建築基準法により土留めの有無、エクステリア工事の施工費用が割高になる可能性や事前の地盤調査などが必要になってきます。経験豊富な建築家や専門業者に相談して進めていくことで、より安心感がありますね。

13:国土交通省のチェックリストを参考に

国土交通省では「我が家の擁壁チェックシート」というものを配布しています。土留の構造物は経年変化と共に老朽化したり、雨や地震によりひびが入ったり傾いたりしますが、その危険度がわかりにくいということがあります。このチェックシートを利用することで、おおまかな危険度のチェックができるようになっています。

14:事前の擁壁の地盤調査で安心

土留の構造物の必要性の有無にかかわらず、土地購入の前には、必ず地盤調査を依頼しましょう。地盤調査をせずに家を建ててしまい、あとから地盤沈下、家の傾き等といったトラブルが起こる可能性もあります。依頼する業者から地盤調査終了後に「地盤調査報告書」が発行されるかどうかも確認しましょう。

15:メンテナンスは?

例えば、コンクリートの土留構造物の寿命は約50年と言われています。


  1. 排水に問題はないか
  2. 水抜き穴の中に、土や草が詰まっていないかどうか
  3. 表面から水が染み出していないか
  4. ひび割れや変形はないか
  5. 構造物に白い物質が現れている場合


トラブルを未然に防ぐためにも上記の項目を確認しましょう。

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